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特別研修②(オーストラリア医療制度視察の報告)

 

ベル薬局グループでは社会人として医療人として視野を広げる為に、薬剤師 管理栄養士 調剤薬局事務が、海外薬局視察ツアーに参加しています。

2018年はオーストラリアのケアンズに行き、オーストラリアの薬局を視察し、日本との医療制度の違いや薬局の在り方を学んできました。

 

 

■オーストラリア

・場所 日本のほぼ真下。面積は日本の約20倍で、アメリカ(アラスカ除く)とほぼ同じ。

・時差 マイナス1~プラス2時間。位置的には日本のほぼ真下にあるが、国土が広いため時差にも大きく差がある。一部の州ではサマータイム制を採用しており、期間中は更に1時間プラスされる。

・気候 4つの気候帯がある。ケアンズは熱帯性気候に属し、はっきりした四季はなく、雨季と乾季に分かれている。雨季でも一日中雨が降り続けることはなく、一時的にスコールが降った直後には晴れているといったことも多い。冬でも最低気温は16℃前後で、日中は半袖で過ごせるほどである。

・人口 約2460万人(51位)で、うち8割以上がヨーロッパ系である。移民が全体の約2割を占める。また現地で働く日本人も多く、在留邦人数は約93000人。

・人口密度…2.8人/㎢

・平均寿命…男性が78.5歳、女性が83.3歳(2005年)

・平均年収 約670万円(日本の平均が約442万円)

・産業 豊かな自然からサービス・観光業が主な収入源となっており、約7割を占めている。農業や工業も行われているが、特に農業は貿易に特化しておらず、基本的に自給自足である。また、金・オパールの採掘も行われ、お土産品によく使われている。

 

■医療制度

基本的にはイギリス連邦諸国のシステムを真似ており、プライマリケアや総合診療医(GP:かかりつけ医制度)システムを持つ。公的医療制度と民間医療保険が並立し、民間保険からは自己負担の大部分が補償される。また、混合医療が認められている。政府は収入に応じた民間医療保険への加入を推奨しており、市民の約半数は民間保険に加入している。保険料の約1/3は所得税控除とされている。

また民間医療保険には、留学生の加入を義務付ける専用の健康保険や、一時滞在者用の保険なども整備されている。

 

□公的制度 Medicare(1984~)

・日本の健康保険に相当し、外来診療の一部補助、入院費の全額補償等を行う。

・保険料(Medicare税、全体の1/4)は個人所得の約2%、残り3/4は一般財源から出る。

・低所得者への課税は免除され、高所得かつ民間医療保険未加入者には1%を追加課税する。

・歯科・眼科・救急やコンタクトレンズなど、カバーされないものも少なくない。

 

□民間医療保険 Health funds

・最も市場シェアが大きいのはMedibank(30%)。2009年までは政府公企業だったが、

現在は民間営利企業となっている。

・営利・非営利企業が存在し、一部の保険会社は加入者を地域で限定することもある。

 

■医療提携体制

 基本的にGPが担うプライマリケアと、病院が担う二次・三次医療は分かれており、病院

や専門医にかかるにはGPの紹介状が必要となる。

 

□GP(General Practitioner、一般開業医)

・ほとんどは開業医で、全国に約25,000人存在する。人口10万人あたりの平均は91.3人だが、地

域によって差が見られる。

・歯科以外のほぼ全分野に関して診察を行う。GPにかかるだけで解決することも多い。

・GPの選択や変更に特に制限はなく、自宅や職場の近くで探すのが一般的。

 

□専門医(Specialist)

・専門的な診療が必要と判断された場合に紹介されるが、混み合っていることが多い。

・早くても1週間は待つが、緊急性が高いと優先的に予約が入ることもある。

 

□病院(Hospital)

・公立と民間(私立)に分かれ、更にそれぞれに総合病院と専門病院がある。

・約1360施設があり、割合は6:4(病床数7:3)である。

・公的病院は州によって運営され、原則として一般国民に対し無料でサービスを提供する。

・過疎地の小さい病院から大都市部の大病院まで多様性があり、精神病院も19ある。

・民間病院にはさらに営利・非営利の2タイプがあり、公的病院と比べて小規模。

 

 公的病院に比べて、民間病院は程度の医療サービスを提供する棲み分けがなされてきたが、近年では

緊急性の低い「選択的手術」を行うなど、病院数の多い都市部では公的病院と民間病院、民間病院

間の競合が激化している。

 

■薬局

 オーストラリアでは、薬局は一般的に「Chemist」と表記される。

オーストラリアでは、1人当たりの年間受診回数が6.6回(日本の約半数)であるのに対して、薬局

の年間利用回数は14回以上であり、医療機関利用の倍以上となっている。理由として、オーストラリア

ではリピート処方せん制度が導入されており、患者の症状と使用する医薬品によっては、最大1年間受

診をせずに過ごせることが挙げられる。その分薬剤師には、患者の薬物管理に関して相応の責任を負うこ

とが求められると言える。

 

□日本との比較 

人口10万人当たりの薬局薬剤師数はテクニシャン(1人の薬剤師に1~2人付く)も調剤業務要員としてカウントされるため、合算すると日本とほぼ同じだけの薬局薬剤師が人口に対して存在する計算となる。また、これを店舗当たりに当てはめると、6.6人となり、日本の2.7人に対して約2.4倍の人数が調剤業務を担っていることになる。一方で薬局1店舗がカバーする人口の割合は日本の約1.8倍である。

 また、年間処方せん枚数は2億7500枚で日本の約1/3程度にもかかわらず、1店舗当たりの枚数(月間)は4倍にもなる。

 このような差が生じる理由として、調剤方法や薬歴記載方法、法規制に大きな違いがあることが挙げられる。

 また、1人の薬剤師が運営できる店舗数は州によって異なり、3~6店舗に制限されることもある。

 

       

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